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2004.02.11

殺意のシナリオ

『殺意のシナリオ』 J・F・バーディン作 宮下嶺夫訳 小学館

 二日酔いで頭はずきずきと痛む上に、手首には深い傷跡があり、包帯もまいてあるけれど、自分で切ったのかどうかも思い出せない。昨夜のことがまったく思い出せないフィリップは、不安になりながらも出社した。オフィスの机のうえには、タイプで打たれた原稿があった。『告白』と題されたその原稿には、フィリップが妻を裏切ったことが書かれていた。書いた覚えもないが、よく日づけをみると、今日起こることらしい。書かれていたことが、現実に起きてきて、フィリップは恐怖にとらわれる。誰かが自分を陥れようとして書いているのだろうか? それとも自分で書いて、書いたことを忘れているのだろうか?

 原作は1947年に書かれたが、アメリカではなかなか認められず、最初はイギリスで出版されたという。タイプ原稿というところが、ちょっと古いと感じるかもしれないが(今だったらやはりパソコン?)、心理的においつめられていくようすは、今読んでもじゅうぶん怖い。その恐怖が最初から最後まで続くところもすごい。
 探偵役の精神分析医ジョージ・マシューズが登場する2作目。1作目は晶文社より近刊だそうだ。3作目は『悪魔にくわれろ青尾蝿』と、すごいタイトル。この3部作が、70年代にイギリスの推理作家・評論家のジュリアン・シモンズによって再評価されたという経緯が新保博久による解説に書かれている。

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コメント

蒼子さん

 よおし、『殺意のシナリオ』も読むぞ~。

投稿: 青縁眼鏡 | 2004.06.08 10:50

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