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2004.04.05

モギ――ちいさな焼きもの師

『モギ――ちいさな焼きもの師』(リンダ・スー・パーク作/片岡しのぶ訳/あすなろ書房)
 舞台は12世紀後半の韓国。焼き物の村にモギという少年がいた。幼いころ両親を亡くし、橋の下で暮らすトゥルミじいさんに引き取られた。盗みと物乞いだけはせず、ひもじい毎日だったが、モギは村の焼きもの師、ミンがろくろを回す日に、こっそりと覗き見るのが楽しみだった。ある日モギはひょんなことから、ミンの手伝いをすることになるが……。

 なんといっても圧巻は99ページで、モギがあることに気づく場面。読んでいて背筋がぞくぞくした。この一瞬を感じることができたらどんなに幸せだろう。うまくいえないのだけど。
 トゥルミじいさんの言葉もひとつひとつ、心にきざんでおきたいものばかりだ。モギが旅に出るときに言った言葉。

「そのかわり、ひとつ教えよう。旅の危険は、なんというても人間じゃ。しかし、助けてくれるのも人間をおいてほかにはない。これを忘れんでおれば、安心していけるぞ」p140より引用

 本当に好きなことなら、こんなにがんばることができるということ、そして好きなことができる喜びが素直につたわってくる。なかなか理想や将来を夢見ることが困難な時代だからこそ、子どもたちにも読んでほしい作品だと思った。そっと置いておいたら読んでくれるかな。

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コメント

さかなさん

 磁器の急須ってすてきでしょうね。そうそう、陶器はごつごつしているところがいいですね。磁器の凛とした形の美しさってすきです。おっちょこちょいで割ってしまうのは、子どもよりわたしのほうなので、なかなか買えないのですが。

投稿: 蒼子 | 2004.04.06 01:06

蒼子さん
 私は、韓国へ一度観光で行った時に利川まで足をのばし、湯呑みを買ってきました。その後、母が観光に行った時、青磁の湯呑みをお土産にもらいました。韓国のひとり湯呑みは、茶こしもついていて便利で、青磁の美しさを堪能しながら愛用していたのですが、あれから数年、子どもたちも使いたがりばんばん割って残りひとつになりました。割られるたびに、もう使わせまいと一瞬思うのですが、ねだられると……。ごつごつした陶器もすてきですが、磁器もいいですよね。私はこの本を読んだあと、磁器の急須を買ってしまいました。急須とか湯呑みって大好きなんです。

投稿: さかな | 2004.04.05 20:06

さかなさん

『光草』にもつうじるのですね。ぜひぜひ読まなければ。さ・え・ら書房さんの本は目がはなせませんね。『ママは行ってしまった』も読んでみます。
『モギ』を読んだあとはネットで青磁の写真をさがしまわりました。

投稿: 蒼子 | 2004.04.05 16:55

蒼子さん
 この本を読んだのは昨年ですが、うるっとする気持ちを止められませんでした。そして美しいものに対するモギの気持ちも美しく。『光草』も雰囲気も背景もまったく違いますが、通じるものがあるように思います。もうひとつ、さ・え・ら書房さんの『ママは行ってしまった』も。芸術といってしまうと、大げさでかまえてしまいますが、美しいものは心に光をもたらせてくれると、これらの本を読むととても納得できるのです。

投稿: さかな | 2004.04.05 13:50

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