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2004.10.30

その瞬間

詩人(うたびと)たちの旅(創元推理文庫)
ダイアナ・ウィン・ジョーンズ著・田村美佐子訳

 4部作〈デイルマーク王国史〉の第1部。王を失ってから、南部と北部に分かれいがみあっているデイルマーク国。国じゅうを自由に通行できる詩人一家に生まれた、末っ子のモリルの視点から描かれていて、読みやすい正統派ファンタジーだ。陽気な父と、物静かな母、おとなしい兄と気の強い姉といっしょに、馬車に乗って旅をする。ある日少年キアランを乗せたことから、一家の生活は大きな変貌をとげる。

 ジョーンズ初期の作品ということで、話の筋は一直線で読みやすい。登場人物の個性が豊かに描かれているところは、さすがジョーンズ。一家は町々をめぐりながら、古い民謡を歌ったり、物語を聞かせたりして日銭を稼いで暮らしている。だから子どもたちも楽器を習い、歌を作る。クィダーという弦楽器がすてき。あしべゆうほの『風の呪歌』を思い出した。弦楽器って好きだ。わたしは学生時代にマンドリンをやっていた。また弾きたくなった。みんなで調律していくところが好き。音がふわっとぴったりあう瞬間がよい。ジョーンズ作品の魔法は、自分で気づくことが必要だが、今回もモリルが「気づく」瞬間がぞくぞくした。2部『聖なる島々へ』も買ってしまいました。

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2004.10.29

いのり

いのり
フィリモン・スタージス文・ジャイルズ・ラロッシュ絵・さくまゆみこ訳

 ヒンドゥー教、仏教、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の聖地が、美しいペーパークラフトで紹介されている。宗教や建物の解説もうれしい。それぞれの宗教で、平和をいのっているはずなのに、なぜ悲劇がくりかえされるのだろう。ただ自分自身を見つめると、宗教というものに対して、あまりにも無関心なのも事実だ。宗教についてもわかりやすく書かれているのがうれしい。


おじいちゃんと森へ
ダグラス・ウッド著・P.J.リンチ絵・加藤則芳訳

 こちらは〈地球の祈り〉。少年は幼いころ、おじいちゃんとよく森へでかけて、いろいろなことを教わった。

「じっと耳をかたむけて聞いてみると、
お祈りそれ自体が
その答えだってことも、よくあるんだ。
木や風や水とおなじように、
ぼくたちはここにいるから
お祈りをするんだよ。
世界を変えるためではなくて、
自分たち自身を変えるためにね……」
(本文より引用)

 ほんとうにいろいろなことが起きている今、生きていることに感謝したくなる絵本。リンチの水彩画もすばらしくて、森に行きたくなる。秋だから、紅葉や木の実もたくさんあって楽しいだろうなぁ。耳をすませて、地球の声を聞くとほっとする。

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