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2007.09.27

海誓山盟

読破ページ数【20】

 ラークライト 伝説の宇宙海賊 フィリップ・リーヴ作 デイヴィッド・ワイアット画 松山美保訳 理論社

 舞台は、ヴィクトリア女王が君臨する大英帝国、時は第1回万国博覧会がひらかれた1851年。ただし、錬金術師(!)のアイザック・ニュートンが発明した錬金術エンジンのおかげで、人類は惑星間を宇宙船で行き来している世界だ。アーサーは、父と姉のマートルとともに、月の北側に浮かぶ家〈ラークライト〉で暮らしている。母は3年前に地球に向かう途中で行方不明になり、死んだと思われていた。
 そんなある日、ラークライトにお客がやってくることになった。父の研究を見たいというのだ。来客などめったにないので、マートルとアーサーはわくわくしていた。ところが現われたのは巨大なクモで、あっという間に父さんは糸にからめとられてしまった。「マートルを守れ」という父さんの最後の言葉をうけて、アーサーは必死で姉をつれて脱出し、月に不時着した。危機に陥ったふたりを助けてくれたのは、悪名高き宇宙海賊ジャック・ハボットだった。ふたりの運命はいかに……。

 19世紀の英国の香りをただよわせながら、惑星間を船で移動する冒険物語。人間以外の生物たちもたくさん登場する。パンくずなどを食べてくれる木星の生き物、ホバーホグがうちにもほしいな(匂いは困るけど)。このような不思議な生き物や異星人も登場して、さまざまな愛について考えさせられた。
 月、火星、金星、木星、土星と移動し、それぞれの描写もおもしろかった。映画化も決まっているらしい。続編は"Starcross"。

◆フィリップ・リーヴ読了本感想
移動都市

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2007.09.23

雨過天晴

読破ページ数【20】

 うちの一階には鬼がいる! ダイアナ・ウィン・ジョーンズ作 原島文世訳 東京創元社

 キャスパー、ジェニー、グウィニーの母が再婚した相手、ジャックは横暴で子ども嫌いの鬼のようなやつだった。おまけにジャックの連れ子の、ダグラスとマルコムもいやなやつらだ。この3人と同居することになったキャスパーたちは、憂鬱な日々を送っていた。
 ある日ジャックは、自分の子どもマルコムと、ジェニーに化学実験セットを買ってきた。賄賂のつもりだろうか? しかし、この実験セットは、「魔法生成科学/魔術舎製造 毒性・爆発性なし」!

 というわけで、この実験セットから作り出された薬が、大騒動を引き起こし、反発しあったり、協力しあったりして、ばらばらだった家族がお互いに理解していく、というお話。
 原作は1974年に発表されたジョーンズ初期の作品なので、子どもたちひとりひとりは、ごく普通の子だった。でも子どもが集まれば、相乗効果で騒ぎが大きくなっていくのは、現実でもよくあるので、すごくわかりやすい。唯一の女の子グウィニーが、すっごくかわいい。後の作品を思い出させる場面もたくさんでてきた。
 今回は本当のきょうだいと、義理の兄弟入り混じっていて、5人の複雑で、微妙な関係がおもしろかった。
 解説は『魔法使いハウルと火の悪魔』の翻訳者、西村醇子さん。

◆ダイアナ・ウィン・ジョーンズ読了本一覧(感想)

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2007.09.19

山中暦日

読破ページ数【20】

  インシテミル The Incite Mill 米澤穂信作 文藝春秋

 異常に高い時給にひかれて、短期アルバイトに応募した男女12人。一週間世間から隔離された地下の施設で過ごすだけでいいという。24時間モニターされるための高額な時給だという。誰ひとり断ることなく、12人は館に入った。何もしなければ、それぞれ一千万円以上の報酬を得られるはずだったが……。

 うう、後味の悪さがなんともいえない。古典ミステリネタ満載のミステリ。前に『僧正殺人事件』を読まなきゃと思って、押し入れから出したのに、まだ読んでいなかったのを思い出した。今度こそ読まなきゃなぁ。
 小道具から舞台設定、すべてが謎解きにつながっておもしろかった。

◆米澤穂信、読了本の感想
夏期限定トロピカルパフェ
ボトルネック
『さよなら妖精』 感想書いてなかった。ラストがずっしりときました。

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2007.09.15

錦心繍口

読破ページ数【20】


ヴォイス 西のはての年代記II アーシュラ・K・ル=グウィン作 谷垣暁美 河出書房新社(2007.08)

 かつては、他国に聞こえた大学と図書館があった南方の都市アンサル。いまは東方から攻めてきたオルド人に占領され、人々はひっそりと息をころして生きていた。唯一神を信仰し、文字をもたないオルド人は、本は魔物であるとして、図書館を破壊し本を破棄した。
 語り手のメマーは、その侵略の年にオルド人に襲われたため身ごもった母から生まれた。母亡きあと、アンサルの道の長の館で暮らしていた。この館はアンサルの名家のものでその血をひくメマーは、母のやり方をみて秘密の図書室へのはいり方を知っていた。ある日その図書室で道の長をはちあわせしたのをきっかけに、メマーは読み書きを習うことになる。文字や書物には魔物が宿ると信じる、オルド人の圧制のもとでは、読み書きを習うのは危険なことだったが、メマーは図書室の本を読むのが楽しみだった。
 そしてメマーが17歳になったある日、〈高地〉からやってきた人物にメマーは大きな影響を受け、アンサルにも大きな転機がおとずれる。

 わたしはいつもふしぎに思っていた。創り人たちはどうして家事や料理を物語から締め出すのだろうと。偉大な戦いは、そのためにこそ戦われるのではないのか――一日の終わりに、安らぎに満ちた家の中で家族が一緒に食事をするためにこそ。(70ページより)

 前作『ギフト』から約20年後の西のはて。『ギフト』の登場人物も大きな役割をはたす。オルド人は唯一伸を信仰し、アンサル人は多神教。そして文字をもたないオルド人と文字をもち、本を大切にしてきたアンサル人。相容れない民族が、どうおたがいを理解していくかが丁寧に描かれている。
 オルド人が本を破棄する場面では『ONE PIECE 第41巻』のオハラの悲劇を思い出してしまった。
『ギフト』につづいて、記録する文字をもつ民と文字をもたない民が描かれているのが興味深い。後世に歴史や物語を伝えるのに必要な文字や本。しかしそれだけではないと教えてくれれる。アンサル人の多神教は、そこここにいる神々や先祖の神々を敬う。毎日礼拝をかかさない。家にはいるときは敷居石にふれてその家の祝福を願う。そうした日々の生活とともにあるからこそ、文字が力をもつのだなあと思った。
 訳者さんのあとがきでは作者さんにお会いになったときのエピソードがそえられていて、読後の余韻が深まった。

ギフト 西のはての年代記Iの感想

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2007.09.10

韋編三絶

読破ページ数【20】

 今年はリンドグレーン生誕100年を記念して、いろいろと新刊がでています。これもその1冊。
 「わたしたちは、遊んで、遊んで、遊び暮らしました。遊び死にしなかったのが不思議なくらいです。」とリンドグレーン自身がふり返っている子ども時代が、くわしく書かれています。その子ども時代のエピソードがどのように作品にいかされたかが、わかるようになっていてとても興味深く読みました。
 後半はリンドグレーンのふるさと、ヴィンメルビーの観光案内。「やかまし村」の北屋敷、中屋敷、南屋敷や、カッレくんが住んでいたとリンドグレーンが考えていた家など、豊富な写真をみていると、いつかヴィンメルビーに行ってみたくなります。関連書籍や作品一覧、略年譜もついていて、とっても充実しています。
 妹さんと弟さんは翻訳家だったんですね。お兄さんの孫もミステリ作家なんですよね。『喪失』を前に読みました。

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2007.09.05

粗衣粗食

読破ページ数【20】

 今年から夏休みが短くなったため、お弁当がはじまって1週間。はやくもばててます。ついふらふらと買ってしまったのが「オレンジページ」特集は「朝作らないお弁当」。少しはおいしそうなお弁当が作れるかな。

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2007.09.01

8月に読んだ本

読破ページ数【10】

★絵本

  
ウェン王子とトラ チェン・ジャンホン作・絵 平岡敦訳 徳間書店(2007.06)
セーラーとペッカの運だめし ヨックム・ノードストリューム作 菱木晃子訳 偕成社(2007.06)
ぼくは、おうさま! レオ・ティマース文・絵 ひしきあきらこ訳 フレーベル館(2007.07)
ぼくの ウサギ イヴォンヌ・ヤハテンベルフ作 野坂悦子訳 講談社(2007.06)
こんにちは マクダフ ローズマリー・ウェルズ作 スーザン・ジェファーズ絵 ささやまゆうこ訳 アールアイシー出版(2007.04)
アズールとアスマール ミッシェル・オスロ作 平岡敦訳 スタジオジブリ(2007.07) 
ねこ おおきくなあれ 今泉忠明監修 フレーベル館(2007.06)

★読み物

  
ロック・ラモーラの優雅なたくらみ スコット・リンチ作 原島文世訳 早川書房(2007.06)
ランプの精 リトル・ジーニー3 ピンクのまほう ミランダ・ジョーンズ作 サトウユカ絵 宮坂宏美訳 ポプラ社(2006.06)
ランプの精 リトル・ジーニー6 ジーニー・スクールへようこそ ミランダ・ジョーンズ作 サトウユカ絵 宮坂宏美訳 ポプラ社(2007.08)
アークエンジェル アンソニー・ホロヴィッツ作 佐宗鈴夫訳 集英社(2007.07)
パイレーティカ 女海賊アートの冒険 下 タニス・リー作 築地誠子訳 小学館ルルル文庫(2007.07)
鎮魂歌 グレアム・ジョイス作 浅倉久志訳 早川書房(2004.05)
なんでネコがいるの? 続 ぼくはきみのミスター トーマス・ヴィンディング作 ヴォルフ・エァルブルッフ絵 小森香折訳 BL出版(2007.08)

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