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2008.09.16

天使の気高さ

読破ページ数【20】

『暗黒天使メストラール』クリフ・マクニッシュ作 金原瑞人・松山美保訳 理論社(2008.05)

 フレイアは8歳のときに天使に会った。以来もういちど天使に会いたくて、常道を逸した行動をつづけるうちに、9歳のときに病院にいれられてしまう。母は幼いときになくしていたが、父の必死の看病で回復し、14歳のいまようやく家にもどって学校に通うようになった。
 学校でも人気者のエイミーに気にいられ、普通の生活を満喫していた。そんなとき、ふたたびフレイアの目の前に天使があらわれる。それは以前みた姿とはまったくちがう、羽も身体も黒い「暗黒天使」だった。

 マクニッシュは「魔法少女レイチェル」シリーズや「シルバーチャイルド」シリーズでも「守る子ども」たちを描いてきた。今回も「守る子ども」なのだが、これまでどこか「子ども」たちがその運命を即受け入れていたのに対して、フレイアはさまざまなことにゆれ動く。14歳の少女の友人やはじめてのデートといった普通の悩み、父や兄の悩みに気づいていくこと。そうしたことを悩みぬいて成長していく姿は読みごたえがある。とくにいじめの場面は苦しくて、何度も読む手がとまってしまった(夏休み前から読みはじめたのに、1か月以上もかかってしまった)。それでも最後まで読めてよかったと思う。

「ここには気高さがある」(9ページ)

 気高さゆえに、「守る」ことができるのだろうか。人を傷つけるのは人間だけど、人を救うのも人間であることがひしひしと伝わってくる幻想的なファンタジー。とくにお父さんと兄のルークの「気高さ」が印象的。このふたりに守られていたからこそ、フレイアも成長できたのだろう。

 天使の造形も読みどころのひとつだろう。でも真っ黒になったのも、真の姿にもちゃんと理由があるところがマクニッシュらしい。

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