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2008.12.08

ヴィクトリア朝

読破ページ数【20】

 
『仮面の大富豪 上・下――サリー・ロックハートの冒険2――』
フィリップ・プルマン作 山田順子訳 東京創元社 2008.10
・2006年フェニックス賞オナーブック
・1989年MWA賞(エドガー賞)YA小説ショートリスト

 前作『マハラジャのルビー』から6年たち、サリーはケンブリッジ大学女子コレッジを卒業し、財政コンサルタントとして活躍していた。そんなある日、サリーのオフィイスに顧客の老婦人がたずねてくる。サリーのアドバイスで投資した海運会社が倒産して貯えを失ってしまったのだ。その倒産について疑問を感じた婦人はサリーに原因の調査を依頼した。一方劇場で働いていたジムは、命を狙われているという奇術師を助けた。探偵業をしているフレデリックとともにその事件を調べはじめる。調査がすすむにつれふたつの事件の背後にひとりの人物がうかんでくる。

 原作はイギリスで1986年に発表され、アメリカでは1988年に発表されている。フェニックス賞は20年前の出版時に主だった賞を受賞していない作品から選ばれるというユニークな賞。ヴィクトリア朝時代を描いているので、ちっとも古びえはいない。
 22歳になったサリーは、仕事も軌道にのっている。しかしフレデリックからの求婚に素直に応じられない。その心情は現代にも通じるものがある。
 同じヴィクトリア朝を舞台にした「エノーラ・ホームズ」シリーズでも女性の自立がテーマとなっていて、どちらの主人公も親の遺産などを元手に職業婦人になっているところがおもしろいと思った。どちらも自立をつづける不安と誇りが描かれている、サリーはフレデリックの手をとり、エノーラも兄シャーロックのに庇護されれば楽なことはわかっているけどそうはできない。
 上巻は『マハラジャ~』と同じような冒険物として読んでいたが、下巻は怒涛の展開で、ページを繰る手が震えた。おもわず叫んでしまった結末は、個人的には『琥珀の望遠鏡』のラストに匹敵するせつなさではないだろうかと思う。3巻はサリーが25歳になる3年後。楽しみです。
 映像化もされていてミステリチャンネルで2008年11月に放映されました。見られなくて残念。

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