« 9月に読んだ本 | トップページ | 10月に読んだ本 »

2009.10.10

伝説の生まれるところ

勇者の谷』 ジョナサン・ストラウド作 金原瑞人・松山美保訳 理論社(2009.08)

「勇者の谷」。そこにはかつて夜になると人間や家畜を襲うトローという怪物がいた。その怪物たち
をたおし、安全な谷にしたのが12人の勇者たち。その筆頭にたって戦ったのが勇者スヴェンだった。
勇者たちはいまもトローがいるといわれる荒野と谷の境界のケルンの下で剣をもって眠り、トローの
侵入をふせいでいる。
 主人公のハリは、スヴェンの末裔スヴェンソン家の次男。勇者スヴェンにあこがれているのだが、
いまは平和な時代で争い事も話し合いで解決する。ハリはいまの生活に不満をもっていた。そんなハ
リを理解してくれるのは叔父のブローディアだけだった。
 ハリが14歳になった年の秋の集いの日。ハリがしかけたいたずらがきっかけとなり、ブローディア
がハコンソン家の者に殺されてしまう。裁判での決着をもとめる父をはじめとする家族にいらだつハ
リは、ひとりで復讐をとげようと旅立った。
 スヴェンが第一の勇者だと信じてきたハリは、はじめて領地からでてほかの勇者の末裔たちと出会
い途方にくれる。それぞれの家で、自分たちの父祖こそが第一の勇者である話が伝わっているのだ。
勇者の伝説に疑問をもちながら旅をし、ついに叔父の仇のもとにたどりついたハリは思いがけない真
実を知る。
 とにかくハリは“勇者”のイメージとはほど遠く、口も悪いし不細工で背も低い。やることがすべ
て裏目にでていく。他人の剣をとっても、長すぎてふるえない、なさけない“勇者”なのだ。そんな
ハリを叱咤激励していくのが、勝気なアリネソン家の娘アウド。伝説にとらわれるハリと、家の安寧
のために嫁がされることに反発し伝説を否定するアウドは、やがて伝説の真実にいきあたる。
 ハリがあがけばあがくほど事態が悪化していくが、ハリの口の悪さもかなりのもので、読んでいて
もおもわず「だまってろ」といいたくなるほど。でも、ハリとアウドにはいつか必要となる旅だった
のだろうと思う。読んでいて次々と予想を裏切られていく展開に、びっくりしながら読み終えた。

|

« 9月に読んだ本 | トップページ | 10月に読んだ本 »

ファンタジー」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/13123/46437150

この記事へのトラックバック一覧です: 伝説の生まれるところ:

« 9月に読んだ本 | トップページ | 10月に読んだ本 »