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2010.08.03

音楽の力

『モーツァルトはおことわり』 マイケル・モーパーゴ作 マイケル・フォアマン絵 さくまゆみこ訳 岩崎書店(2010.07)

 新米記者の〈わたし〉は、上司が怪我をしたために、急遽世界一有名なバイオリニスト、パオロ・レヴィのインタビューをすることになった。ただ、モーツァルトについては質問してはいけないという。はじめての大仕事に緊張と不安をかかえながら、〈わたし〉はヴェニスのマンションにレヴィをたずねた。前もっていろいろと調べてはいたものの本人を前にして、だめだといわれていたプライベートにかかわる質問「バイオリンを弾くきっかけ」を聞いてしまった。しかし、レヴィは何かを決心したように、ひとつの物語をはじめたのだった。

 レヴィは自分がバイオリンをはじめたきっかけから、ナチスが強制収容所でオーケストラを演奏させていたこと、そしてモーツァルトを演奏しない理由が語っていきます。人の心を豊かにし、慰め、喜びを与えるはずの音楽。聞く者にとっても演奏する者にとっても、幸せになるはずの音楽が、悲しい記憶となって、強制収容所を生きのびた人々に重い影をのこしたのでした。

 好きな音楽が、こんなふうに残酷な使われ方をすることに、怒りを感じるとともに、人間のたくましさに希望をもたせてくれました。

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