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2010.10.16

怖いもの

『11をさがして』 パトリシア・ライリー・ギフ作 岡本さゆり訳 文研出版(2010.09)
★2009年MWA賞(エドガー賞)児童図書賞候補作

 サムは11歳の誕生日の前日、屋根裏部屋で古い新聞記事を見つけた。そこに載っている写真は幼いころの自分だった。しかしディスレクシアという学習障害があるサムに読めたのは missing の文字だけ。missing って、行方不明? しかもその下にある名前はサム・べル。サムの名字はマッケンジーのはず。自分は誘拐されたのだろうか? いま一緒に住んでいる祖父のマックとは、どういう関係なのだろうと、サムは思い悩む。そして異様に11を恐れることも気になりだす。もしここから出て行かなければならなくなったらと思うと、マックに問いただすこともできず、問題の新聞記事を読んでもらおうと、サムは転校生のキャロラインに声をかける。

 学習障害があるために、文字を読む授業をべつに受けているが、読むことをあきらめてしまっているサム。声をかけたキャロラインは、父親の仕事の都合で転校を繰り返していて、ここにも数か月しかいられないので、誰とも親しくなりたくないと思っている。ふたりは中世フェスティバルで一緒に城の模型をつくることになり、お互いをだんだん理解するようになっていく。そこにサムの謎がからむ。

 うまく伏線がはってあって、ミステリとしても面白い。サムとキャロラインが出会い、サムの謎を調べていくうちに、自分たちにたりないものに気づき、前向きになっていくところがさわやかでよかった。

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2010.10.13

不可思議

『トンネルに消えた女の怖い話』 クリス・プリーストリー作 三辺律子訳 理論社(2010.07)

 森で暮らす叔父さんから怖い話を聞く『モンタギューおじさんの怖い話』、嵐の夜にやってきた船乗りの男が語る『船乗りサッカレーの怖い話』につづく「怖い話」第三弾。いままでで一番〝怖い〟かも。

 今回は寄宿学校へむかうロバートが聞き手になる。嫌いな継母からようやく離れて学校へ行くのでほっとしていたロバート。列車に乗る直前に、継母が予言めいたことをいって、うんざりしながら別れた。ところが継母の予言どおり列車はトンネルの前で止まってしまう。動かない列車の客室で、ロバートに怖い話を聞かせるのは、前のあいていた席に、いつのまにかすわっていた白いドレスの女。

 ロバートもそうですが、各話にでてくる子供たちも、現実に対してかなりのわだかまりをもっています。そうした負の感情が克明に語られて、ロバートは(そして読んでいるわたしも)引きこまれてしまいます。
 話を終えるごとにはいる白いドレスの女とロバートの会話も興味深いです。さて、ロバート自身の運命と白いドレスの女の正体は!

 理論社が民事再生法の適用を申請というニュースにはびっくりしました。このシリーズもそうですし、先日読んだ『SCAT スキャット』や「ミステリYA!」と好きな作品がたくさんあるので、がんばって再建してほしいです。本買わなきゃね。

★「ミステリYA!」の感想
人くい鬼モーリス
オフェーリアの物語
雨の恐竜
ルビアンの秘密

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2010.10.07

車は彼女

  

『チキチキバンバン 1 チキチキバンバンはまほうの車』 イアン・フレミング作 ジョン・バーニンガム絵 こだまともこ訳 あすなろ書房(2010.09)
『チキチキバンバン 2 海辺の大ぼうけん』 イアン・フレミング作 ジョン・バーニンガム絵 こだまともこ訳 あすなろ書房(2010.09)
『チキチキバンバン 3 ギャングなんかこわくない』 イアン・フレミング作 ジョン・バーニンガム絵 こだまともこ訳 あすなろ書房(2010.09)

 ジェイムズ・ボンドの作者イアン・フレミングが息子のために書いた児童書で、映画化もされている「チキチキバンバン」。日本ではじめて紹介されたのは、1964年『空とぶ自動車』(常盤新平訳)でした。つぎが1980年に渡辺茂男さんの訳で冨山房から出版されています。

 発明家のポットさんはスクラップ寸前のレーシングカーを手に入れます。丁寧に修理をしてぴかぴかになった車をみて、ミムジー母さんも双子のジェレミーとジェマイマも大喜び。車が発進するときに聞こえた、「チキチキバンバン」を名前にします。さっそくお弁当をもって海に出かけることに。でも大渋滞にはまって、動けなくなってしまったとき、たくさん並ぶつまみのひとつがひかりだし、「引け」という文字が浮かびます。そのつまみを引くと車がどんどんと変わっていって、空へ飛び立ちました! チキチキバンバンの大冒険のはじまりです。

 007の作者が書いたものらしく、楽しいしかけが満載です。特に車がすきな子は夢中になりそう。お弁当や朝ごはんの食べ物の描写がおいしそうで、3巻にはファッジのレシピがついてます。

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2010.10.01

9月に読んだ本

9月の読書メーター
読んだ本の数:10冊
読んだページ数:1242ページ

カエルもヒキガエルもうたえるカエルもヒキガエルもうたえる
『ふたりはともだち』以前の作品に娘さんが彩色。くわしい経緯が巻末にあります。
読了日:09月25日 著者:アーノルド・ローベル
くまのコードリーまいごになる―ドン・フリーマンのキャラクターにもとづく物語 (わくわく世界の絵本)くまのコードリーまいごになる―ドン・フリーマンのキャラクターにもとづく物語 (わくわく世界の絵本)
ドン・フリーマンの作品からアイディアを得て創出した作品ということです。「くまのコールテンくん」がもとのお話ですね。
読了日:09月24日 著者:B.G.ヘネシー
スキャットスキャット
絶滅危惧種にたいする作者の思いが伝わってくる。
読了日:09月21日 著者:カール・ハイアセン
コウノトリのおはなし―えんとつのうえの車輪コウノトリのおはなし―えんとつのうえの車輪
読了日:09月09日 著者:マーガレット・ワイズ・ブラウン
まいごのしろくま (BOOKS POOKA)まいごのしろくま (BOOKS POOKA)
読了日:09月09日 著者:
おつきさまと ちいさな くま (世界の絵本)おつきさまと ちいさな くま (世界の絵本)
読了日:09月09日 著者:アンドレ・ダーハン
ぼくが一番望むことぼくが一番望むこと
読了日:09月09日 著者:マリー・ブラッドビー
わたしは、わたし (鈴木出版の海外児童文学―この地球を生きる子どもたち)わたしは、わたし (鈴木出版の海外児童文学―この地球を生きる子どもたち)
2002年全米図書賞最終候補作。父親がある事件の証言をしたために、「証人保護プログラム」をうけ、それまでの生活も友達も名前もすてて、新しい土地で過ごすことになった一家。正しいことをしたのに、何もかも失ってしまったやりきれなさが重いけれど、娘ふたりのがんばりに希望がもてる。
読了日:09月07日 著者:ジャクリーン ウッドソン
超訳百人一首 うた恋い。超訳百人一首 うた恋い。
恋の歌ってきゅんとする。古文の時間を思い出しました。
読了日:09月06日 著者:杉田 圭
電子書籍の衝撃 (ディスカヴァー携書)電子書籍の衝撃 (ディスカヴァー携書)
「本のフラット化」が一番衝撃的だった。本の未来がどうなるのか楽しみ。
読了日:09月02日 著者:佐々木 俊尚

読書メーター

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